書籍紹介『世界「失敗」製品図鑑:「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道』荒木博行 (日経BP)
以前に読ませて頂いた『世界「倒産」図鑑』の続編を今回読ませて頂きましたのでご紹介します。
世界「失敗」製品図鑑 「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道 新品価格 |
◆何について書いた本か。
新しいことにチャレンジする以上、失敗はつきもの。
本書では、誰もが知る有名な企業の過去の失敗20事例が紹介されております。
失敗の後成功を掴んだ各メーカーの失敗を自身の教訓にして、恐れずにチャレンジしてほしいと著者は伝えています。
(1)コカ・コーラ:ニュー・コーク(清涼飲料)
コカ・コーラは、1985年に、コカ・コーラの味を既存製品よりも一段甘味を強くしたコカ・コーラ「ニュー・コーク」を発表し、伝統歴な既存のコーラの生産を打ち切ることを表明。
その結果、消費者から一斉にクレームが入り、3ヶ月後には、かつての味を復活(コカ・コーラ クラシック)することを発表。
なぜ、コカ・コーラのような歴史ある企業が、そのような世紀の失敗をしてしまったのか。
それは、経営陣が、アメリカ消費者にとっての「コカ・コーラ」を単なる消費財だと捉えてしまい、「機能や品質さえ良ければ味を変えても売れるだろう」と、顧客ニーズを理解できていなかったことが挙げられます。
当時、ペプシの追い上げや、砂糖の高騰(ニュー・コークは、砂糖の代わりに、安価で供給安定する異性化糖を使用)などの問題もあり、経営陣たちは冷静な判断をできていなかったようですね。
なにはともあれ、3ヶ月で陳謝という素早い決断をしたことで、騒動の収束後は、コカ・コーラは勢いを取り戻し、今でもアメリカを代表する飲料メーカーとして君臨し続けております。
品質も大事ですが、伝え方(本書では、コミュニケーション)も大事ということを教えてくれる事例でした。
(2)グーグル:Google+(SNS)
グーグル(元:アルファベット)は、2011年に、Google+(グーグルプラス)と名付けられたSNSサービスを立ち上げました。
当時、グーグルは広告ビジネスを拡大させるために、リアルな人間のデータ収集がしたく、フェイスブックの保有している情報を喉から手が出るほど欲しがっていました。
その企業側の都合(戦略)を強行的に行いはじめます。
Google+を実名登録必須とし、会員でないと、Gメールやグーグルカレンダー、YouTubeコメントなどを利用できなくしたのです。
この戦略に、社内からも批判が出るようになり、Google+のAPI・テストツール開発を率いた責任者がグーグルを去ることに。
それと同じくして、Google+の投稿数は減り始め、2018年10月に個人情報問題(外部のソフトウエア開発会社が登録者情報を閲覧できるようになっていた)の発生を受けて、Google+は2019年4月に閉鎖されることになりました。
なぜ、巨大IT企業であるグーグルが、そのような大失敗をしてしまったのか。
それは、経営陣が、企業側の都合を優先してしまい、SNSがどういうサービスかを理解できていなかったことが挙げられます。
SNSは、ユーザー主導で楽しめる場を手探りで開拓していく過程が重要であり、企業の都合で決めるものではないということ。
この大失敗をしてしまったGoogleですが、今となっては、YouTubeでの収益は鰻登りであり、フェイスブック以上に顧客に寄り添ったサービスを提供しております。
企業側の都合を一旦脇に置き、俯瞰してユーザーのニーズに寄り添う姿勢が大事ということを教えてくれる事例でした。
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◆おわりに
2事例を挙げさせてもらいましたが、いかがだったでしょうか。
当時の状況を知らない人にとっては、「あの大企業が、そんな失敗する?」と思ってしまうほどの事例ばかりで、読んでいてツッコミどころ満載でした。
企業の失敗事例ですが、個人に置き換えて考えると似たような経験はないでしょうか。自分の都合優先で物事を進めてしまったり(笑)
本書には他にも、ユニクロの野菜事業進出、NTTドコモのNOTTV(放送)、フォードのエドセル(自動車)など20事例が紹介されております。
興味を保たれた方はぜひお手にとって読んでみてください。
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