書籍紹介:よるさんの奏でる言葉たちにうっとり「麦本三歩の好きなもの」住野よる(幻冬舎)
麦本三歩さん、すきだなぁー。
本屋にいくと、妙に気になる本に出会う。
「麦本三歩の好きなもの(第二集)」
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三歩?なんだこのふざけた名前は・・・ってか、誰だ?
こんな人の好きなものなんて売れるのか?
でも、第二集が発売されてて、しかもこんなに平積みに・・・
表紙の子もかわいい・・・
・・・気になる…
ということで、かなりお久しぶりに、小説とやらを読むことに。
とはいっても、平積みな最新刊を買わずに、律儀に第1集を。
「麦本三歩の好きなもの」住野よる(幻冬舎)
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本書は、麦本三歩というちょっとおっちょこちょいだけど、かわいげがある一人の女性にスポットをあてた短編集。
麦本三歩さん、すきだなぁー。
麦本三歩という人物がいかにもいそうで、結構好みだからということもあるけど
本書に自分がハマってしまったのは、なにより住野よるさんの描写力。
例えば本書では・・・
- 人の答えを引きずり出すような優しい笑顔。きっとこの顔に内臓引きずり出されて死んだ男の子達がいるんだろうなと思いつつ、三歩はこの先輩に気を許していた。
- そんな時、三歩は迷子になって帰ってこれない本のことを想像し、キュッと心臓の冷える感覚を覚える。
- どぅわおえあっという叫び声をあげそうになったのを必死にこらえ、三歩はそのエネルギーを飛び上がるのに変換することで、絶叫という一番のマナー違反を避けた。
- これはむーだ。絶対むーだ。よくないむーだ。
- 一瞬、妙な思い出の扉が開きそうになるのを、三歩は全力で阻止した。いやいや大丈夫大丈夫、あるある、誰にだってそういうことあるある。
- 夜の図書館には静けさのアクセントがいつも加えられているけれど、今日は慌ただしさの名残という刺激的なワンポイントも加わっている。しゃれっ気がある。
などなど、自分のすでに腐りかけのレディオばりのちいさな脳からでは決して考えつかないであろう軽やかに奏でる言葉たちによるオーケストラにもううっとり。
この2年ぐらい、特に昨年に関しては、ほとんど投資本や経済本ばかり読んでいたせいもあるかもしれないけど、こういうゆるふわな本、そして住野よるさんの作品にどっぷりとハマってしまった自分なのでした…
麦本三歩さんが、付箋紙だらけ。