書籍紹介『AI新世 人工知能と人類の行方』小林亮太, 篠本滋, 甘利俊一 (文春新書)

 

AIに関して職場で色々お勉強中ということもあり、AI関連の書籍も(もちろん自腹で)読ませて頂いたのでご紹介します。

それではよろしくお願いします。

 

『AI新世 人工知能と人類の行方』小林 亮太 (著), 篠本 滋 (著), 甘利 俊一 (監修) (文春新書)

AI新世 人工知能と人類の行方 (文春新書)

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◆AIは人間にとって代わるのか・・・答えが知りたい方へ

本書の内容

手のひらサイズの文春新書なのに、中身が詰まったAI学習書籍でした。

 

3部構成。

AIの最新動向について、

1部では、「AIにできること」

2部では、「AIは社会をどう変えるか」

3部では、「AIの歴史と未来」

と学ぶことができます。3部の内容は、G検定にも合致する範囲なので、G検定を受験予定の方の(メインにはならないけど)参考書としても利用できると思います。

 

個人的関心ごと

  • 人新世(ひとしんせい)・・・近年、注目を集めている言葉。人類が地球の地質や生態系に甚大な影響を与えているのではないか、という問題提起を込めて、呼ばれている。
  • 路面検査:カメラを搭載した車を走らせて路面データを収集。教師データは、「ひび割れ率」「わだち掘れ量」「平たん性」などを指標にしている。
  • 2020年に、カルビーは、ポテトチップスのパッケージを決定するのにAIを使用した。プログというパッケージデザインの会社が開発したAIを導入したとのこと。著者曰く、過去のパッケージ画像を入力して、それらの売上実績や調査した高感度などを出力する、という学習を行わせるようです。新たなパッケージ案を入力すれば、AIはそのパッケージを使うとどの程度売れそうか、どの程度の好感度が得られるかについての予測を出力するようになる。さらに売上を向上させるには、画像のどの部分が売れ行きの良し悪しにつながるかをヒートマップで可視化することができるので、確かめてみるなどトライを繰り返す。
  • 野鳥の歌声を聞いて名前をあてる(「話者認識」と呼ばれる)というAIアプリも存在する。
  • 音声認識だけでなく、音声合成でも深層学習の導入が進んでいる。ディープマインド社が開発したWaveNetは、音声信号そのものから学習をする深層学習モデル。1秒間の音声を作るには1万6000個もの空気振動についての情報が必要になるが、WaveNetはこの情報を深層学習で作ることができる。(すでに、Googleホームや、Googleアシスタントの音声として採用されている)
  • メールのスパムメール対策として、現在は、メールの内容によってフィルタリングしようという技術が進んでいる。文章からそれがスパムかどうかの分類を行う文章認識Aiの応用例の一つに「ベイジアンフィルタ(≒ベイズ統計の手法を使ったフィルタ)」というものがある。スパムメールのデータセットを用意して、ベイズ統計を使って、重みづけし、判断している。ベイジアンフィルタの弱点としては、1文字でも字が違う単語は、全く別の単語と判断されてしまうことが挙げられます。
  • フェイクニュースの自動検出のために深層学習をどのように使うのか?「CSI」と呼ばれる深層学習モデルでは、ニュースの文章の特徴、ユーザーの反応の文章の特徴、ユーザー間のつながりの情報などを活用して、フェイクニュースの特徴をつかみます。フェイクニュースは拡散経路や時間パターンが通常のニュースと違うことが最近の研究でわかってきていますので、こういう情報を使えば、より早く正確にフェイクニュースを検出できるようになるかもしれない。
  • 言語処理AIの開発に要する予算・・・BERTの学習は、Goole TPU(機械学習用の専用プロセッサ)を64個使い、4日間かけて行ったそうです。クラウドサービスに申請すれば、1時間4.5ドルで私たちもGoogleのTPUを使うことができるとのこと。ただし、このこのサービスを使えたとしても、BERTモデルを1回学習させるだけでも2万8000ドル(約360万円)の費用がかかります。
  • 行動的生体認証・・・これまでは生体認証としては顔、指紋、網膜などが使われてきたが、今度は「行動」に着目して、たとえば人の歩き方だけから識別することもできるようになったとの報告もあり。銀行口座のアカウントにログインするときのスマホのスクロール速度、スマホを持つ角度、指圧などから認証する方法さえも研究されている。
  • 自動運転・・・米国では、グーグル系の企業「Waymo」は2018年に世界初となる自動運転車を活用したタクシーサービス”Waymo One”をアリゾナ州の一部ユーザーを対象に限定的に開始された。2019年末には、ドライバーレスのサービスが導入されている。
  • 人間がかかわりいくい問題にかかわるAI・・・エイベックスは、日本マイクロソフトと協力して、コンサートの観客の顔画像から観客の満足度を数値化する試みをおこなっている。
  • 書類を作成するAI・・・OpenAIの深層学習モデル「GPT-3」は、応用したい対象についての関連資料を見せるだけで、その用途にカスタマイズができる。例:マーケティング関連の資料を学習データとして入力することで、マーケティング用にカスタマイズされたモデルになる。また、文章生成能力が非常に高く、文章のお題、あるいは書き出しの一部を入力すれば、残りの文章を作り上げていく。
  • 視覚障害者のサポート・・・スマート杖というものが開発されつつある。杖に搭載されたカメラと超音波センサーが障害物を認識し、障害物との距離を測って伝える。ただし、実用化には、万が一間違いが起こった場合の責任、など法的な問題もある。

 

「AIは人間にとって代わるのか」

ただ・・・上記1部〜3部の本編内容よりも、個人的に面白かったのは・・・ラストの座談会。「AIは人間にとって代わるのか」。

 

「AIは人間にとって代わるのか」をテーマに、著者2人と、監修を担当している甘利さんを加えての3人がお話しています。

もしAIに仕事をとって代わられたら、ベーシックインカムを導入して、お金を稼ぐこと以外でチャレンジすれば良いのでは?という意見・・・ベーシックインカムについてマイナスイメージを持っていた私としては考えもしなかった答えだったので、なるほど!と思わされました。

 

確かに。

お金にならないけど、やりたいことや、極めたいことができるし、我慢せずに行きたい時に旅行にも行けるし、休めるし、より健康的でイキイキしそうですね。

 

あぁー、2045年頃に生まれたかった〜。

 

「AIは人間にとって代わるのか」についての結論について気になる方は、ぜひ本書を読んでチェックしてみてくださいね。

おすすめの本です。

 

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