書籍紹介「食料危機 -パンデミック、バッタ、食品ロス- 」井出留美 (PHP新書)
食料問題は自分が生まれたころからいわれていたものの、いまだに解決されてない永遠のテーマ。
この話題について知識が乏しく、しっかりと勉強しておきたく読ませてもらいました。
「食料危機 -パンデミック、バッタ、食品ロス- 」井出留美 (PHP新書)
内容は、食料危機の現状、原因、歴史、確保する方法、私たちができることでシンプルで理解しやすい構成になっております。
<現状>
- 1日、約200円未満で暮らす絶対的貧困層は7億2900万人。COVID-19でさらに悪化。
- ワースト10か国:イエメン、コンゴ民主共和国、アフガニスタン、ベネズエラ、エチオピア、南スーダン、シリア、スーダン、ナイジェリア北部、ハイツ
- 食料危機は、供給、アクセス、利用だけでなく、それらが安定的である必要があり、根深い問題。
<原因> 食べ物の3分の1が捨てられている
- 消費する先進国が低所得国に栽培させている農産物に厳格な規格基準を設け、現地で廃棄処分させている。
- フードサプライチェーンのうち、低所得国では小売段階に到達する前の生産輸送といった段階(前半)で廃棄される傾向があり、高所得国では、前半はもちろん、後半の小売・消費レベルでも廃棄される傾向がある。
- 日本の食品ロス:家庭から46%(1位:きゅうり、2位:豆腐、3位:キャベツ)、事業者から54%(パン類が多い)。外食では、宴会や披露宴での飲み物が多い。
- 水不足:2017年、水不足で2.4%食料生産減少。人が1日に口にする水の量4リットル に対して、人が1日に口にする食料の生産に必要な水2000リットル(500倍)
- 気温上昇:気温上昇に伴い呼吸量の増加と生育期間の短縮で減収。とうもろこし、2度上昇→米国17.8%生産量減少。
- 肉食の増加:牛1キロあたり11〜13Kの穀物が必要 → スウェーデンでは「肉食は少し恥ずかしい」といわれている。
- バッタの害
- ミツバチ減少:世界で日常的に食べている食品100種類のうち7割はミツバチ受粉で野菜や果物として実る。
- 芝生:芝生は生物多様性がない。殺虫剤を使い場合も多い。
<食料を確保するためには>
- 日本:容器包装の技術を駆使することで賞味期限を延ばす技術を進めている。(キユーピー株式会社:7ヶ月→12ヶ月に延長)
- 米国ライス大学の研究者たち:食品廃棄物・プラスチックごみを活用し、安価に「ブラフェン」というシート状の素材を生成する方法を発表。*グラフェン:ダイヤモンド並みの強度を持ちながら、柔軟に折り曲げることができ、熱を伝える速さも世界一といわれ、化学耐性や耐熱性の高さから、シリコンや貴金属の代替品として注目されている。
- 食料に対する危機意識を高める
食品廃棄物・プラスチックごみを活用し、「ブラフェン」という新素材を誕生させることができるなんてはじめて知りました!
こういった取り組みをしている企業とかあったら、ぜひとも投資していきたいですねー。
最近やたらと企業のSDGsへの取り組みが注目されておりますが、本書にも記載されているとおり、家庭・外食での食品ロスは同じぐらいの割合までに達しております。
自分も含めて、個人個人の食料に対する危機意識を高くもち、ロスをなくす取り組みをしていくことがなによりも大事なことなのだと感じました。
本書には、本ブログに記載したこと以外にも、各国の取り組み状況についての詳細や、私たちができるこ100のことなども紹介しております。
興味を持たれた方は一度ぜひとも本書を手に取って読みこんでもらいたいと思います。