書籍紹介『株式投資2023 不安な時代を読み解く新知識』前田昌孝(日経BP)
お久しぶりに、株式投資の本を読ませていただいたのでご紹介したいと思います。
それではよろしくお願いします。
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◆本書の内容
株式市場の世界を取材歴40年のベテラン証券記者が、取材とデータ分析をもとに独自の切り口で解説しております。
主な内容:物価高や円安の株価への影響、真価が問われる東証プライム市場やガバナンス効果の動き、NISAが誘う長期・分散・積み立て投資の現実、「投資の神様」バフェットの買い出動の結果など。
面白みは少ないかもしれませんが、元日経新聞の方が著者なので、プロ目線の分析を可視化してしっかりとまとめらており、俯瞰して市場動向を把握することができるという点において、読む価値がある一冊ではないかと思います。
ただし、投資の本だからといっても、お金の儲け方を教えてくれる本ではなく、あくまで、学んだことを総合して、自ら行動を起こさないといけない点は誤解なきようにしてください。
章の構成
- 株式投資の現在地
- 急変する市場構造
- 始まった投資教育
- 資産形成、正しい理解を
- 株高論者が見落としていること
- 日本復活、道は険しい
株式投資の現在地
- 日本は輸入関連企業よりも輸出関連企業のほうが多いため、円安進行は輸出メリットで株価を押し上げるはずであったが、海外生産を強化した現在では、メリットを受けなくなった。また、コロナウイルスによる入国規制で外国人旅行者がほとんど入ってこなかったことも影響している。
- 証券大手3社による日本企業の業績見通しは、2021年度に続いて2022年度も過去最高。2023年度の見通しも小幅ながら増益が続くと予想。
- 2022年は外国株投信にも値下がりしているものが多く、外国株投資にもリスクが大きいことが浮き彫りになったが、それでも変わらず米国株や世界全体の株式を組み入れるものの売れ行きがよい。外国人投資家は、日本株を大幅な売り越しになっている年が多く、2022年も10月第一週までの累計で売り越し額は3兆円を超えている。
- 個人投資家の保有が多い日本株投信も売り越しになった年が多く、2012年以降の累計の売り越し額は4兆7261億円。
- バークシャー・ハザウェイの2022年4月〜6月期はSP500を下回る成績しか残せておらず、バフェット氏の真似をすれば投資がうまくいくなどと誤解をしないほうが良い。
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急変する市場構造
- 証券会社の増収増益は、楽天証券だけ。顧客の口座数も2022年になって、楽天証券がSBI証券を抜き首位になった。(SBI証券グループとしては1位だが)。
- スマホ証券では、LINE証券が躍進するも、先行投資で赤字100億円超。自分が仕事をリタイヤする頃には、さらに良質な3Dプリンターハウスができていると思いますので、将来が楽しみですね。
資産形成、正しい理解を
- 著者が注目しているのは、金融庁の税制改正要望のなかにある「キャッチアップ投資」。つみたてNISAにこれまで投資できた分(年齢に応じた積立分)の金額をいま投信にまとめて拠出できるという制度。
株高論者が見落としていること
- 自社株買いは株高といわれているが、米国では自社株買いはこれから大幅に減るのではないかと懸念されている。
理由1:株式を購入する原資を借り入れるための金利負担が、金利上昇によって大きく膨らんでいるため。
理由2:8月16日に成立した新しい米歳出・歳入法によって、2023年1月からは企業が自社株買いをすると、その金額の1%相当を納税しなければならなくなったため。
- 自社株買いをすると、発行済み株式数が減少するため、一株当たり利益が増え、株式の押し上げ要因になるというのが、株式上昇に結びつく理屈ではあるが、バークシャー・ハザウェイが積極的に自社株買いを開始した2017年末〜2022年10月17日までの株価上昇率は40.8%に対して、SP500インデックスの上昇率は、49.7%であり、中長期的には株価が上がるわけではない。
日本復活、道は険しい
- 1989年末には世界の株式時価総額の40%を占めていた東証上場企業の時価総額が、いまでは4%台後半まで低下している。
- 日本復活の1案として、著者は、大学の教科書のデジタル化を橋梁に推進することを提案。
- 円安は日本の製造業復活の好機。戦後の高度成長期のように、再び日本を世界の工場にして世界中に安価で良質な製品を売りまくる戦略も良いが、日本は電気代が高く、ITエンジニアが足りないという問題があり。
- 日銀は、量的緩和政策の推進のために買い続けてきた長期国債の残高が2022年10月10日現在で537兆円6800億円にも達していて、政策金利の引き上げを受けて国債の利回りがわずかにでも上がると、長期国債の含み損が大幅に拡大し、自己資本の4超7000億円(2022年3月末)を上回り、実質債務超過状態になってしまう。(利上げ1%で含み損30兆円)
- 銀行は経常増益だが、純資産が減少している。多くの銀行は預金が集まっても貸出先を十分に見つけることができないため、投信や外債などの有価証券運用に資金を振り向けていており、(ヘッジありだと)評価損になっている場合があるため。
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